『SILENT HILL f』開発秘話 #3- 戦闘とモーションキャプチャーについて

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11月5日 (水)、株式会社コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)は、『SILENT HILL f』のビハインドザシーン(開発秘話)#3『Combat and Character Design』を公開しました。本作は戦闘システム、謎解きのデザイン及びキャラクターの演出という三つの面で新しい風を吹き込み、より現実味を帯び且つ心理的な深みに富んだゲームプレイをもたらしました。制作チームは、主人公雛子のキャラクター設定を中心に、先進的なモーションキャプチャー技術により、彼女の心の世界及び濃密でグロテスクな雰囲気をプレイヤーになお一層感じさせることになります。

 

NeoBards ゲームディレクター Al Yang

 

戦闘システム担当のゲームディレクターの Al 氏によると、今回『SILENT HILL f』は1960年代の昭和時代を背景に、主人公は普通の人間という前提に、斬新でリアリティに迫るバトル体験を作り上げました。

 

NeoBards アソシエイトデザインディレクター Capra Shih

 

アソシエイトデザインディレクターの Capra 氏によれば、雛子の戦闘スタイルは、「普通の人間でもできるバトルアクション」という方針に固めました。それにより見切り反撃や渾身の一撃、またピンチから逃れた際アドレナリンの急上昇による一時的な身体能力の強化などは、その基盤に沿っています。プレイヤーは戎ヶ丘の町で武器として使える様々な道具を見つけることができます。武器によって全く違う操作感やテンポをもたらすほか、お守りを装備することで能力の調整ができるなど、バトルに応じて多様な組み合わせができます。

 

 

クリーチャーデザインについて、担当チームはその振る舞いと存在意義の紐づけに重点を置き、ストーリーとの緊密な関連性を確保しました。特にボス戦は竜騎士07先生による物語の魅力を引き立てるように設定の上、kera 先生のデザインを通して「美しいがゆえに、おぞましい。」という独特なスタイルに仕上げました。「これらのバケモノにどんな秘密が秘められているかはプレイヤーの皆さまにお任せします」と、Capra 氏はユーモアを交えて言いました。

 

右二 NeoBards レベルデザインリーダー Kaiyu Chang、右 プログラミングリーダー Rachael Wu

 

謎解きはゲームの中でかなり重要なパートです。レベルデザインリーダーの Kaiyu 氏によると、謎解きも雛子の精神状態を主軸にしています。郊外を舞台にしたステージを例に言うと、「方向を見失う」というテーマから、心の迷いと進む道を見出すことに絡んだ謎解き体験を作り上げました。

 

NeoBards コンセプトアートリーダー Ant Hsu

 

コンセプトアートリーダーの Ant によれば、プレイヤーを導く象徴的なキャラクターとして選んだのがアヤカカシで、 kera 先生のクリーチャーデザインに基づき、制服に象徴的な意味合いのある仮面を加え、侘しく薄気味悪い雰囲気を生み出します。ステージのビジュアルは季節の移り変わりに伴って変化し最終的に霧に包まれた不毛な空間となり、そこに立ち入ることで主人公が心の奥底に近づくことを示唆します。謎解きはストーリーの進行のためだけでなく、プレイヤーにキャラクターの感情や潜在意識に共感させ、シリーズ定番のサイコロジカルホラーの魅力を発揮できる、と Kaiyu は強調しています。

 

NeoBards アートディレクター Box Shih

 

アートディレクターの Box 氏からモーションキャプチャーの作業について話していただきました。雛子は昭和時代に社会的・家庭的抑圧を受けてきた、繊細で内気な少女という設定を、今回加藤小夏さんに演じてもらいました。フォトスキャンとモーションキャプチャーにより、彼女の感情の機微をそのままゲーム内に反映することができました。

 

左から NeoBards カットシーンアーティスト Michael Lee、プロデューサー Tiffany Tsou

 

プロデュースチームメンバーの Tiffany 氏によると、文化に沿った感情をリアルに伝えるように、撮影は日本で行い現地の役者に参加していただきました。ゲーム内の 90 分以上のカットシーンは、脚本から、ストーリーボード、編集作業まで、NeoBards にとって今までにない挑戦でした。カットシーン制作の工程では KONAMI、役者の方々及び映像制作会社と密に連携を図りました。

 

左から NeoBards プロデューサー Tiffany Tsou、カットシーンデザインリーダー Grey Hu

 

カットシーンデザインリーダーの Grey 氏の説明では、モーションキャプチャー撮影時点でゲームデザインはまだ調整中だったが、現場の担当チームは高度な柔軟性をもって臨機応変に対応しなければなりませんでした。役者は限られた情報の中でキャラクターの感情を演じ、監督が都度指導していました。竜騎士07 氏の緻密なシナリオを具体的な演出にするにあたり、その文章への深い理解及び度重ねる確認が必要だ、と Tiffany 氏は補足しています。更に、モーションキャプチャーの即時再生機能により、加藤さんは現場で映像を確認しながら他の演者との掛け合いを調整し、演出の品質を確保しました。

 

主人公雛子役を演じた加藤小夏

 

 

主人公雛子役を演じた加藤小夏さんから初めてのモーションキャプチャーについて感想を述べていただきました。撮影現場では組まれたセットなどがなく、想像で演出する形で新鮮で面白かったとのこと。彼女にとって最も挑戦的だったのは、セリフを一言一言間違いなく話さないといけないことでした。普段のお芝居ではやりやすいように言葉を変えることもあり、今回の台本通りの厳しさに苦戦したそうです。

 

 

加藤さんにとって印象に残ったのは、マルチエンディングを演じることでした。長らく雛子に向き合い、どの結末も胸が熱くなり、役者人生で貴重な体験となったようです。二人の雛子が同時に登場するシーンも最も苦しかったとのことで、演出の途中で感情の迷路に迷い込み、涙が出て撮影が一度中断するも⋯。更に初めてゲームの主人公として自分が画面に写ったのを見た時、撮影のことが思い出されて感動もあるが苦しい気持ちも蘇ったそうです。それでも、本作に携わることができて誇り高く胸が高鳴り、たとえいつか自分がこの世にいなくなっても、彼女の演技を体験するプレイヤーがいることが、非常に不思議で感激するとのことでした。

 

『SILENT HILL f』は PlayStation 5、XBOX X|S 、Steam 、Epic Games、Microsoft Store (Windows) 、GOG などのプラットフォームにて好評発売中

 

©Konami Digital Entertainment

 

 

 

 

会社紹介

NeoBards Entertainment (ネオバーズ)は、2017年に創立し、東西各国から集結した20年以上の業界経歴を持つ先駆者たちが築き上げたゲームメーカーです。本社をアジアの香港に置き、また、台北と蘇州に開発制作の拠点を設けております。当社がカプコン社と共同制作したタイトルには、『デッドライジング デラックス リマスター』、『ロックマンエグゼ™ アドバンスドコレクション』、『バイオハザード Re:バース』、『バイオハザード: レジスタンス』などがあります。コーエー公認でネクソンからリリースされたモバイルゲーム『真・三國無双 M』の開発以外に、スクウェア・エニックスの『Marvel’s Avengers』や『ファイナルファンタジー VII リバース』の開発・制作にも参加しました。現時点、いくつかのタイトルを開発中ですが、後続情報をお待ちください。

当社は、国際的なリソースの統合に長け、シリーズIPに限らずオリジナルタイトルも高品質でプレミアゲームを提供することを自負しています。当社のスタッフは、開発に全力を尽くし、創造プロセスの苦楽を共に噛みしめています。ネオバーズは、クリエイティブへの愛、ストーリーテリングへの情熱、そして努力と高品質へのこだわりが常に成功へ導くという確固たる信念の下に集まったチームです。